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おひとりさまになってみた2007年12月02日 23時59分59秒

 昨日の話に続き、

 昨夜は、ほんとうはプールが終わってから、職場に行って、急ぎの書類を作らなければならなかったのですが、それはやめて、仲良しのプールのコーチに付き合ってもらい、一緒に、ありえない組み合わせの甘いものを食べ、自分をカームダウンさせました。帰ってきたのが1時半過ぎで、それから、後始末などをして、寝たのが3時ごろでした。海をみたりして、あれだけ無理やり上げていたモチベーションも、ちょっとしぼんでしまったので、自分の個人種目はリタイアすることにしました。これは、わたしがいちばん嫌う最低の選択だということはわかっているけれど。

 2時半すぎでしたが、一緒に混合リレーを泳ぐ仲間に、とにかく、混合リレーだけは、何があっても行くというメールだけしておいて、寝ました。

 午前中、もう、これ以上できないというほどのフルメイクをして、シャッキリさせ、出かけました。どうせプールに入る前に、メイクは落としちゃうんだけど、これもひとつのおまじないのようなもの。巣鴨までの小一時間ほど、これからする泳ぎをイメージしていました。たった25mなんだけれど、これって意外と重要なんです、わたしには。

 アップしながら、骨棘(こつきょく)の痛みの状態を確認。昨晩と同じ。つまり、呼吸をいれるなら右だけ。飛び込みは頭をしまって。体重移動、踏み出し、飛ぶこと、1点入水、昨日された入水後の注意事項、ドルフィンキックからプルにいくまでのタイミングなど、ひとつひとつ確認しながら。

 入場前に、7泳のコーチから、「さ、うつむかないで、顔を上げて入場しましょう。」とおっしゃっていただき、本当は骨棘痛でうつむいていたのだけれど、顔を上げて入場しました。もう、むちゃくちゃ緊張し、唇も手足も震えていました。
 スタートは1泳女子から。どんどんどんどん、自分の番が近づいてきました。前にいた3泳の友人が出たあと、次のこちらからのスタートはわたし。4泳の仲間が向こうから飛び込み、5泳のわたしは飛び込み台に上がりました。後ろから、力を抜いて!と7泳のコーチの声。そうだった。深呼吸しました。用意の姿勢をとり、真下の壁を見ました。4泳の仲間の手が壁にタッチした瞬間、夢中で飛び込みました。

飛び込んだ瞬間の音は、上手い飛び込みのときに感じる音だったので、これはイイかも・・・・・・と思ったのです。深さも悪くない。ドルフィンキックを何度か打ち、なるべく浮き上がるのを遅くし、水中をすすみました。プルを開始したら、思った以上に推進力を得ているように思ったので、そうだった、ここでダメだしと思って、後半のプッシュを気をつけたら、もっと進む。なんだか今日は調子がいいみたい。いつも、タイムを測るときに感じる25mは長いなぁ、という感覚がないまま、壁にタッチしました。よくわからないのだけど、たぶん呼吸は入れなかったと思う。

プールから上がって、わたしがいつも習っているコーチに、とても良かったですよ、と笑顔でおっしゃっていただきました。彼はアンカー8泳なのですが、生徒の泳ぎをちゃんと見ているなんて、やっぱり余裕だなぁと思いました。その彼が、飛び込んでからわかりました。わたしたちのチーム、同じ組では2位と大きく差をあけて、1位でした。

 たった25mの泳ぎなんですが、わたしはとにかく真剣勝負の泳ぎができ、自己満足の嫌いはあるけれど、充実した気持ちでした。人に褒めてもらわなくても、充分だったのですが、多くの仲間にお褒めの言葉をいただきました。

 この後、みんなは、打ち上げと称して、飲み会に行きました。いつもはたいてい参加するわたしも、今日の充実したリレーの泳ぎを、本当にわたしをわかってくれる友人にだけ話したかったので、この飲み会には参加しませんでした。ふてくされていたわけではなく、友人に話すまで充実感をしまっておきたかったのです。それでも、ちょっとだけ、自分のために、近頃よく友人と行くお店に、今日はひとりで寄ってきました。

 カウンターに座ると、料理長に「めずらしいですね、おひとりで。何かいいことありました?」と言われ、今日の水泳のこと、結果だけちょっと話しました。それはよかったですね、というわけで、お祝いのおつまみをサービスしてくれました。わたしも、今日はおなかがとても空いているから、メニューはすべて彼にお願いして、初めてのお酒「れんと」を頼みました。いつもは「とりかい」ばっかりなのだけど、今日はちょっと冒険。料理長は、メニューにない料理ばかり出してくれました。その丁寧な料理も美味しかったし、出されるタイミングも最高で、家を出るときつかんだ、池波正太郎の『よい匂いのする一夜』という本をときどき読みながら、かなり酔いました。ちょうど湯布院の章を読んでいたのですが、わたしが恋こがれている大分の久住高原の風景が書かれていて、酔った頭で読んでいると、まるで自分がそこに居るような錯覚を、何度も覚えました。その芝生の上を歩き、寝そべって幸せをかみしめた久住高原。高原の空気と景色があれば、もう何もいらないほど素敵なところでした。その世界に、完全に戻っていました。最後に料理長が、「先日、(わたしが)お菓子の先生をなさってるってわかったんで、今度お見えになったらお出ししようと思っていたんですよ。」と言って、最近では珍しくなくなった、お酒のあとのデザートを出してくれました。濃厚なバニラアイスクリームに黒糖をかけ、そこに焼酎を振ったデザート。彼のオリジナルだそうです。焼酎の銘柄をわたしに教えてくれたけれど、それは彼の好意からなので、ここでは内緒です。
隣に友人がいなかったのは残念だったけど、こういう楽しみかたもあることを覚えました。

 家では飲まないことにしているお酒、たまには、こういうふうに楽しむのもよいもので、それが充実したことをした後ならば、とても気分よく酔えるものということを、あらためて感じました。