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何とか過ごせた日2007年12月20日 23時59分59秒

 今週はただでも出勤日数が少ないのに、今日もいろいろな加減で家仕事。選りによって、365日のうち、何が何でも、たとえ地球の果てに行っても外で仕事をしたいたった2日間のうちの、いち日だったのに。

 今日は弟の祥月命日でした。もう長い年月がたっているのに、わたしは乗り越えられず、18年前のあのおそろしい出来事を、時系列でシュミレーションしてしまうのです。18年前の今の時間、彼はまだ生きていた、わたしはこの時間こうしていた、とか。

 わたしは、普段はできるのだけど、今日のような日は、彼に手を合わせることができない。愛する人の死を、認め、受け入れるところから、次が始まるというけれど、わたしに言わせれば、そんなのは、愛する人の考えられない最期を経験したことがない人か、他人のことだから言えるのか、何かの教科書に書いてある模範解答・・・・・・せいぜいそんなとこなんだと思う。そんなこたえをするよりも、ただただ、気持ちだけ寄り添っていてくれればいいのに。

 そういうわけで、家でひとりだったわたしは、彼がいたころから弾いていた曲で、彼も当然聴いているはずのピアノの曲を1曲弾くことにしました。それで泣いたり悲しんだりするのは今日はおしまいと思って。彼はよく、ニューミュージックを自分で弾いていたので、その曲が特別好きだったということは聴いたことはないのだけど。わたしの大好きな曲、それを弾くと、彼を思いだせる曲を1曲だけ。ショパンの夜想曲(ノクターン)9-2。彼の無念を思い、彼のために弾きました。久しぶりにピアノに触れました。彼に届いてくれていればいい。

 もう、これ以上の時間のシュミレーションには耐えられなかったし、今日は、わたしの大好きなプールのコーチが、マスターズでもしかしたら最後のレッスンになってしまうかもしれないと思って、それに出かけました。レッスン中に彼の最期の時間を向かえるので、きっと泳ぐので苦しくて、忘れていられるとも思いました。

 大好きなコーチは、個人的にお付き合いすると、とても繊細で感受性が強く、かわいらしい感じなのだけれど、やっぱり水着を着て、プールに入ると、違う人みたい。とても強く見える。わたしはそういうコーチも好き。わたしも、この彼女のようにありたい。

 今日は25m76回というメニューで、途中苦しそうなところもあるので、なんだかほっとしました。でも、ふとした瞬間に時計を見てしまったわたし。13時17分。彼の時間。一瞬、ふらついてしまったけれど、次はわたしの好きなバタフライで泳ぐことになっていたので、心の中で言いました。

『あっちゃん、見てて!おねーちゃん、結構イケてると思うけど。』
文字通り、歯をくいしばって、泣かないようにして泳ぎました。ダッシュで。
そうだった、彼も幼い頃からこのプールで泳ぎ、大学に入ってからは水泳部に所属し、東医体大会などでは、背泳を泳いでいました。部で作った彼の大きな紫のダウンがあって、わたしもその気になったとき、それを着ようと思っています。

 終わって、次があるかのようなコーチの今年最後のご挨拶。ちょっとセンチメンタルになりました。

 プールから出て、さて、どうしたものかと思ったのですが、毎年弟の祥月命日にかかさずうちにお参りにきてくれる、弟とわたしがアルバイトをしていた塾での教え子だった“ちなつちゃん”からメールが入りました。

 「今日、先生のうちにうかがいたかったのだけど、インフルエンザにかかってしまって、行かれないの。わたしのかわりに、(弟に)手を合わせておいてください。治ったら行きます。」

 実家が遠いし、幼い子がいて、誰も頼れない彼女なので、これは大変と思って、その足で買い物をして、大急ぎで家に帰り、いろいろ体に良さそうなものを作って、彼女の家に持って行きました。そっと玄関の扉においてこようと思って。ところが、オートロックのマンションだということを忘れていたわたし。病院でも行ったのか、彼女は留守で、不審者に思われ、仕方なく電話をしたのですが、出ない・・・・・・。これではしょうがないと諦め、再び帰ったのですが、家の近くまできたら、彼女からでんわがあって、結局戻り、無事、おかずを渡せました。

おかずのひとつにかぼちゃの煮物をしましたが、これは特に喜んでくれました。彼女はいつも言うのです。「わたしが、困ったとき、こうしたいと思ったとき、いつも、先生(わたし)の方から、電話やメールがあったり、先生が来てくれる。先生、ホントにすごい!」って。実は、かぼちゃが食べたくて、買い物に行っていた留守に、わたしが行ってしまったようで、作らずに食べられてよかったといってくれました。

 ショパンのノクターンと、プールの大好きなコーチと、ちなつちゃんのお陰で、恐れていた今日も、なんとかすごすことができました。

 さっき気付いたのですが、このブログを始めて、丸2年が経ちました。読んでくださっている方のお陰で続けられています。ありがとうございます。